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プラスチックの収縮率について (2015年7月9日)

梅雨の季節が続いておりますが、昨日今日は湿度が高くて大変です。さて、このような湿度の高い時のPA(ナイロン)と乾いた時のPAは寸法に差が出るので要注意です。柔軟性もかわります。また絶乾状態だと脆くなりますので割れやトラブルが発生し易くなります。そこでプロの車部品屋さんは良く水に入れたり、煮たり、蒸気をかけてアニールしたりして予め吸湿させてPAに柔軟性を持たせたりします。水を多少含んだ方が柔軟になり世の中を上手く渡っていけます。ナイロンはとっても奥深い樹脂ですね。その収縮率は一般的な数字ですが5/1000?15/1000程度です。結局は製品形状や肉厚、金型温度や成形条件、冷却方法によって変わってきますが、年間を通してのコントロールが我々の仕事の一つです。PP、PA、POMのような結晶性樹脂は収縮率が大きいので非常に難しい部分もありますが、逆にそこで各人の腕の差が出やすく面白いところです。正直、過去の実績の分析・研究と経験によるトライ&エラーで必ず何とかなりますが、唯一お客様の製品形状図面がヘンテコリンだと形状変更しないと改善しない場合も多いです。他方、非結晶性樹脂は収縮率が小さいので比較的簡単で寸法も出やすいです。その代り固かったりするので傷が付きやすかったり、金型から抜けにくかったりします。ちなみにPS、AS、ABS、PCは概ね5/1000です。あとガラス入りの樹脂は異方性と呼ばれる癖があります。樹脂の流れ方向には強度出やすいのですが、90度反転した方向には強度が弱まります。弱まるといっても流れ方向に比べたら・・・という意味ですのでそこそこの強度はありますが。そのガラス入り樹脂のウエルドラインは弱くなる傾向がありますので注意が必要です。金型温度を上げればウエルド消えやすくなります。ヒート&クールなんていう成形方法はウエルド消せるようです。すごいことです!でも結構お金がかかるようです。費用対効果ですな・・・何事も。でもお金だけでないのが人間の人生の面白いところですね・・・。最近つくづく感じるのは要は守るべきもの(顧客・社員・家族・地域・・・)、そしてお友達(協力者)が大切なんだと思います。